高齢者「どこへ行けばいいのか」 自治体の責任を痛感
2009年 05月 11日

無届け老人ホームはなぜ増えているのかー最初の場面は、山梨県の人里はなれた無届け老人ホーム。15畳に7人が詰め込まれていました。外からカギをかけている部屋もあり、入所者の方は、「ただ寝かされているだけ。ここは地獄ですよ」と訴えました。
ニュースキャスターの「老後を安心して暮らせる施設とは思えない」と悲痛な訴え。
千葉県のあるグループ会社が経営、施設ごとに食費の削減額を競わせていました。ある施設では食費が一人月6000円、一日200円です。ある日のメニューは、朝がパンと牛乳、昼は麺類、夕食は三分の一切れの魚とご飯、味噌汁、これで年間1千万円浮かすそうです。
特養ホームの待機者が増え続け、無届けの低所得者向けの施設が増えているといいます。山梨の施設に入所している31人の内、28人が都内からの生活保護受給者でした。「安心して生活できる」をうたい文句にして集め、生活保護で利益を上げている実態も告発されました。「福祉の名を借りた貧困ビジネス」―ターゲットは認知症や寝たきりの高齢者、自ら声を上げられない人たちです。
番組は「受け皿のない東京でどこへいけばいいのか」と訴えています。渋谷区からも現在37人の方が住みなれた渋谷を離れて区外の入所施設に入っています。区内の特養ホームの待機者は577人、昨年入所できたのはたったの59人です。誰もが安心できる介護制度―人権ある老後は国・自治体の責任です。(I)